社会人として働く中で、多くの人が感じる「わかりあえない」という感覚。しかし、この「わかりあえなさ」は、組織が成長するための大きな可能性を秘めています。
今回は、宇田川元一氏の著書『他者と働く「わかりあえなさ」から始める組織論』を紹介し、この「わかりあえなさ」がどのように組織の強みとなるのかを探ります。
■ 「わかりあえなさ」とは?
宇田川氏は、本書の中で「わかりあえない」という感覚をネガティブなものではなく、むしろ組織にとっての重要な出発点として捉えています。
多様な価値観や考え方が交錯する現代社会では、「完全に理解し合うことは不可能」と断言しています。
この前提に立つことで、組織は個々の違いを尊重し、より効果的なコミュニケーションやコラボレーションを促進することができるのです。
■ 「わかりあえなさ」を受け入れることで見えてくるもの
宇田川氏は、「わかりあえなさ」を認識し、それを前提としたコミュニケーションの取り組みを提案しています。本書では、その方法として以下のポイントが紹介されています。
- 多様性を認める: 組織内で異なる視点を持つことを前提にし、意見の違いを尊重する文化を作ること。
- 対話を重視する: ただ意見を交換するだけでなく、相手の背景や価値観を理解しようとする「対話」が必要不可欠。
- 共感ではなく理解: 全ての人と「共感」することは難しいが、「理解」しようとする姿勢を持つことで、相手との距離感を縮める。
これらのアプローチを実践することで、表面的な意見の一致を求めるのではなく、深いレベルでの理解と協力が生まれると著者は述べています。
■ 仕事に役立つ3つのポイント
この本が、特に社会人の仕事にどのように役立つのか、具体的に考えてみましょう。
1. チーム内の摩擦を前向きに活かす
異なるバックグラウンドや専門性を持つチームメンバー同士での衝突は避けられませんが、その摩擦を成長の糧とするためのヒントが本書には詰まっています。特に、対立を恐れず、対話を重視する姿勢がチームの生産性を高めます。
2. リーダーシップの質を向上させる
リーダーとして、多様なメンバーをまとめるためのスキルが求められる時代。本書は、リーダーが全員を「理解する」ためのコミュニケーション方法を具体的に示しています。これにより、より柔軟で適応力のある組織を構築する手助けとなります。
3. 自己成長のヒントが得られる
「わかりあえない」ことを前提にすることで、自己反省や自己成長の契機となります。他者と協働する中で自分自身の価値観を再確認し、より広い視野を持つことができるでしょう。
■ まとめ
『他者と働く「わかりあえなさ」から始める組織論』は、現代の組織における「わかりあえない」という感覚をポジティブに活かし、個々の多様性を尊重した新しい働き方を提案する一冊です。
チーム内の摩擦を避けるのではなく、あえて受け入れることで、組織としての成長を促進する視点は、社会人として働く全ての人にとって有益なヒントになるはずです。
■ この記事で紹介した本
タイトル: 他者と働く「わかりあえなさ」から始める組織論
著者: 宇田川元一
出版: [newspicksパブリッシング]
価格: [1,980円]
気になる方は、ぜひ一度手に取ってみてください。この本を読むことで、あなたの組織やチームの見え方がきっと変わるはずです。
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